新テロ法案とねじれ国会

 (初出後、一部加筆修正)
 いまの国会は、05年9月11日の衆議院選挙では、与党が3分の2を占める圧勝、07年7月29日の参議院選挙では野党が圧勝。衆参は、単なる「ねじれ」ではなく、与党が参議院で法案否決されても、衆院の3分の2で再可決できる、「超ねじれ」状態。
 私は、この憲法59条の「3分の2」条項は、できれば使うべきでないと考えている。直近の選挙結果(参院)を、2年前の選挙結果(衆院)で覆すことになるからだ。
 そもそも、この憲法の規定は、衆参の判断が割れて膠着状態になったときの逃げ道として考えられたのではないか。今のように衆議院で与党が3分の2を占める状態では、すべての法律はこの規定で衆議院の議決通りに決められてしまう。そうなれば参議院は事実上不要、ということになってしまう。
 いま、テロ特措法で、この伝家の宝刀が抜かれようとしている。しかし、インド洋での給油活動の再開が、この宝刀を使わなければならないほどの政策課題なのだろうか?
 政権交代が当たり前の普通の国家では、交代毎に、国際公約などはすぐに変更される。スペインで社会労働党政権が成立とともに、イラクから撤兵したのがそのいい例である。そのことでスペインは国際社会から強い批判を受けてはいない。
 政府は、「超ねじれ状態の中で、テロ対策などの在り方を国民をあげて議論したい」と、当分の給油停止を国際社会に願い出るべきで、この問題を自衛隊の国際活動の恒久法の是非をふくめてじっくり議論すべきだ。
 むしろ、予算などの国民経済・社会生活に密着した、緊急の問題でこそ、この3分の2条項を前提に与野党は真剣に国会対策に取り組むべきではないのか。