日銀総裁を考える(3)

 日銀総裁に武藤氏がふさわしいかどうかの、もうひとつの論点は、日本の行政における財務省をどう見るかにある。
 財務省が、官庁の中の最強の存在として、行政改革などに抵抗を続ける拠点と捉えるのであれば、財務省出身の日銀総裁は避けるべき、ということになる。
 さらに最後の論点として、財務省が財政再建最優先で、いわゆる「上げ潮路線」と対立するのであれば、そのスタンスを引き継ぐ財務省出身者は避けるべきかどうかということがあげられる。
 日銀総裁選びには、
①政府との距離を取れる人かどうか、そもそも取るべきなのかどうか?②改革推進という観点から、守旧派の牙城?の財務省出身者は排除すべきなのかどうか?③現在の財務省の、財政再建最優先路線をどう評価するか?否定するなら、財務省出身者は避けよ、ということになる。
 こういった論点をしっかりと詰めた上で、98年4月に施行された改正日銀法の評価を含めて、新総裁を誰にするかを議論すべきであった。この日銀法で、日銀は相当の独立性を確保することとなり、逆に、政府は日銀を縛るには5年に一度の総裁人事しかない、ということにもなっている。
 こういった議論を、与野党含めて、議論すべきであった。次の総裁の任期中に、大きな政権の変動があるのは間違いないからである。