東京新聞掲載「政府予算案を読んでー急造予算、審議は慎重に

09年12月26日、東京新聞11面掲載
 来年度予算編成は、景気悪化による税収減(-8.7兆円)の中で、「マニフェストの実現(7.1兆円)」、「国債発行の上限設定(44.3兆円)」という、連立方程式を解く困難な作業であった。政権発足から3ヶ月半で、社会保障費を2.4兆円(9.8%)増やし、公共事業費を1.3兆円(18.3%)減らすという、自公政権とは大きく異なる予算をつくりあげた鳩山政権を評価したい。
 まず、対前年比3.8兆円増の92.3兆円の予算規模であるが、マニフェスト実施にかかわる経費増加を、事業仕分けなどによる経費節約で補填しきれなかった結果である。しかし、GDPの需給ギャップが40兆円とも見込まれる中で、財政規模の拡大はマクロ経済の観点から見ると、決して悪いことではない。しかし、政府のしっかりした経済財政展望が示されないまま、財政拡大がなされるのは問題である。ビジョンなきバラマキ的財政拡大では、将来の経済成長も見込めない。
マニフェストの目玉である子ども手当は、支給に所得制限をかけるか否かで議論が二転三転し、結局「制限なし」に決まった。高額所得者には、子育て支援の必要性は薄く、景気対策の観点からも、手当が消費に結びつく可能性も低い。所得制限を設けて、そこで浮いた分をより緊急度、必要性の高い分野に回すべきであった。
 一方、ガソリン暫定税率は維持に決まった。この政策は税収減となる上に、ガソリン消費を増やし、環境への悪影響も懸念されていた。過った政策が実施されなかったという観点から、この「マニフェスト破り」は歓迎したい。
 しかし、この予算は、埋蔵金に大きく依存し、マニフェストを大きく削ったものであった。また、マクロ経済展望もないままに、3ヶ月半で急遽まとめ上げたものであることも否定できない。国会での慎重な審議を期待したい。場合によっては予算修正もあっていいはずだ。何が何でも予算案を無修正で通そうとしてきた自民党との、国会運営の違いも見せてもらいたいものだ。