派遣労働者問題を考える①

 派遣労働者の契約打ち切りなどが話題を集めている。労働者派遣法は1999年の改正で、秘書やソフトウエア開発など専門性の高い26業務以外に原則自由化。さらに2004年、製造業への派遣も解禁した。この結果、約100万人だった派遣労働者数は、300万人超に。まず、契約期間中の契約打ち切り、などへの法的な対応が不十分であったことは認めなければならない。しかし、この制度自体への議論は、私には混乱していると思える。
 この派遣労働。「雇用形態の多様化」に対応するものとして、法改正が進められた。正規雇用ではなく、より柔軟に雇用を確保したいという企業側のニーズと、より自由に働きたいという労働者側のニーズを合致させるものであった。
 柔軟に雇用を、という企業のニーズは、正規雇用では雇えないものを雇う、ということである。まず確認すべきは、労働者派遣制度がなければ、この300万人の方が「正規雇用」で雇われたか、という点である。おそらくは、企業はパート、アルバイト、正規雇用者の残業等で対応した可能性が高い。派遣労働者の雇用は、この制度があるがゆえに生じたものが大半だ、とみるべきである。派遣労働者を正規雇用者にすべきだ、との議論は、成立しない。
 もう一つ忘れてならないのは、雇用については、法的な枠組みの中であれば、自由な企業経営の判断にゆだねられている点である。トヨタ自動車が、期間労働者の削減などを進めたときに「2兆円ももうけていて、労働者を切るのか!」といった抗議が繰り広げられたものである。しかし、11月はじめ、トヨタは「収益が73.6%減り、6000億円になる」と発表した。下期(9から3月)に限れば、営業利益は180億円にすぎない。この事態に、企業は雇用調整せざるをえない。雇用を守れ、と企業に強いることは、企業経営の赤字化、ひいては倒産を強いることにもなりかねない。
 今後、正規雇用の首切りが当たり前の事態となったときに、派遣雇用の問題は吹き飛んでしまうのではないか?必要なのは、雇用を減らす企業を批判することではなく、非正規、正規労働を問わず、首切りに対する公的な支援策である。大きな黒字を抱えている雇用保険、その柔軟な対応を議論すべき時期に来ているのではないか。