障害者差別解消法の成立を

日本の障害者政策の大きな転換点となる「障害者差別解消法」が、固まりつつある。内閣が提出する「閣法」であるが、与党でその大枠が決まり(以下「法律」と述べる)、野党との調整に入っている段階にある。

実は日本は、2006年国連総会で採択された「障害者権利条約」について、まだ批准ができていない。この3月の段階で世界の130カ国が批准しているのにもかかわらず、である。

この国連の「障害者権利条約」の批准に必要な制度改革が、「障害者差別解消法」である。すでに世界の主要国で施行されているこういった法律は、教育や就労における合理的配慮により、より多くの障害者が自立し、納税者となり、社会を支えていく戦力となるという考えに基いて作られている。たとえば米国では1990年にブッシュ政権が策定している。

私の畏友、内閣府の障害者政策委員長の石川准静岡県立大教授は、この障害者差別解消法の成立と国連の障害者権利条約の批准は、障害者の悲願であり、与党の大枠が決まった現段階でなんとか実現させたいと私に語っている。また、この流れを逃すと、10年は、法の成立や条約の批准が遅れるのでは、と危惧している。

この法律では、まず名称が当初想定されていた「障害者差別禁止法」から、「障害者差別解消法」に変わった。強い語感の「禁止」が、「解消」に変えられたのである。また、障害者の差別をなくすためには、たとえば企業に厳しい雇用確保を義務付けることもありうるが、この法律では、民間にたいしては「努力義務規定」となっている。民間事業者などが過度の負担を負ったり、訴訟リスクを抱え込むことは回避される枠組みとなっている。

この法律をより厳しい規定にすることも可能ではあるが、実現を第一に、多くの障害者団体が納得したものであると聞いている。与野党がこの枠組で合意して、今回で法律が成立し、条約の批准が一日も早く進むことを期待してやまない。