鳩山大臣更迭について②(かんぽの宿)

 かんぽの宿は、旧簡易生命保険法101条に定められていた、加入者福祉のための宿泊施設である。70以上の施設があり、年間赤字は50億円にのぼっていた。民営化にともない、この事業は金融業としてのかんぽ生命が引き継ぐことができず、持ち株である日本郵政が5年に限って維持することとなっていた。
このため、日本郵政には、民営化後5年、つまり2012年9月末までの売却が「法律」で義務づけられていたのである。
 
 西川氏の続投に関しては、私は何の権限も関与もない。しかしかんぽの宿については関与がある。2007年4月に、郵政の関連法人の見直し委員会の委員長を引き受けた。そこで、200以上の郵政取引会社や関連法人を子会社化するか否かの判断を求められた。その中に「かんぽの宿」があった。
「かんぽの宿」は、法律で日本郵政からの切り離しが決まっていたので、委員会としては判断は必要なかった。しかし、年間50億円もの赤字は経営上の大きな負担なので、「なるべく早期」の譲渡ないしは売却を答申した。
 答申した側として、年間50億円もの赤字を出す事業を、どうやって売却するのかは不安であった。それは、民営化の際しての国会附帯決議などで、日本郵政は、従業員の雇用の継続を求められていたからである。赤字のかんぽの宿を、廃業して、更地で民間に売却することは不可能だったのである。従業員をそのまま抱えて、赤字のかんぽの宿を買い取る民間企業など、あるわけがない。
 日本郵政がとった方法は、黒字の宿と赤字の宿をセットにして売却するというものであった。したがってその売却額は、不動産の資産額から、年間50億の営業赤字(一種の機会費用)を差し引いたものとなる。多くの方が感じた売却価格の不透明な感じは、ここに依存するのである。この点もまた、鳩山vs西川の報道からはするりと抜け落ちてしまった感が強かった。