TBSラジオ「アクセス」で、タクシー規制復活問題

 2002年、タクシーの参入規制が緩和された。この6年の間に、タクシーの台数は20.6万台から22.2万台へ1割弱の増加。しかし、乗客が増えなかったため、実車率が低下。タクシー運転手の賃金低下などの問題が引き起こされた。
 国土交通省は、参入規制緩和→台数過剰(供給過剰)→乗務員の労働条件悪化、という理屈付けで、供給過剰解消のために再規制=参入規制復活の方針を明らかにした。
 数年ぶりに出演したTBSラジオ「アクセス」で、この話題が取り上げられた。私はこの規制復活に反対。タクシー規制緩和のそもそもの目的は、タクシー業界が、参入規制、料金規制で守られた結果、乗客サービスが向上しない問題を解消しようとした点にあった。
 そこでタクシーの参入規制を緩和して、競争を導入しようとしたのである。規制緩和後、法人タクシー9000社弱のうち、6000社弱が増車。大半のタクシー会社が増車した。問題は、まずここにある。乗客増が見込めない中での増車は、経営悪化に結びつく。それを能天気に増車したことの、業界自身の責任は重大だ。
 一般の産業であれば、供給過剰になれば、企業経営が悪化して倒産企業が出て、供給過剰は自動的に解消する。その際、優良企業は生き延びるので、結果的に、サービスの悪い企業は排除される。
 しかし、タクシー業界の倒産は、規制緩和後増えていない。2006年でも、法人タクシーの倒産数は7(9000社弱で)にすぎない。その理由は明確である。タクシー運転手の賃金が歩合制であるため、売り上げ減がそのまま会社から見ると、費用=賃金が減ることで、収益自体が大きくは減らないのだ。
 タクシーの規制緩和の本来の趣旨は、タクシー会社間の競争を強めて、サービスのよい(あるいは料金の安い)会社を生き延びさせ、サービスの悪い会社を排除していくことにあった。それが、もっぱら、運転手の賃金低下だけを引き起こしたのである。
 ここで参入規制を復活させれば、この業界の体質は変わらない。タクシー規制の見直しは必要だ。しかしそれは、タクシー会社間の競争を加速させるものでなければならない。その一つの方法はタクシー運転手の賃金の固定部分を引き上げ、歩合部分を減らすことで、タクシー運転手の賃金を下支えする。同時にこのことは、タクシー売り上げ減がそのまま会社の経営に響くことを意味する。
 一方、利用者の側は、客待ちタクシーの中で、好みの会社のタクシーを選ぶぐらいの度胸も必要だ。