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日本国憲法の平和主義

日本国憲法の特色に、基本的人権の尊重、三権分立、平和主義があげられるが、前2者は現代の主要国家共通のものであり、平和主義こそが日本国憲法独自の特色である。この平和主義は、憲法前文の「平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会」という認識と、それに基づく憲法9条の「戦争」「武力の行使」を放棄し、「戦力」を保持せず、「交戦権」を認めない、から成っている。
憲法9条の是非やその解釈は、多く議論されているが、私はなによりもこの9条を支える憲法前文の世界情勢や国際関係についての見方、認識について議論すべきだと考えている。

人類は二度の世界大戦を経験しているが、第一次世界大戦では、戦後、戦勝国も軍縮に取り組んだ。戦争のない世界を、軍縮により実現しようという思いがあったのである。しかし、第二次大戦では、敗戦国である日本、ドイツ、イタリアに武装解除を求めたものの、戦勝国は軍縮に取り組むことはなかった。軍縮により平和の実現をはかろうとした第一次大戦後と違い、第二次世界大戦後の国際社会は、戦勝国の武力でもって、平和を維持しようとしてきたのである。
憲法前文にある「平和を維持し、専制と隷従・・を地上から永遠に除去しようと務めている国際社会」とは、日本の憲法9条にある武力放棄でもって平和を志向するものはなく、戦勝国の武力でもって平和を維持しようとしたものなのである。
このことは国連の、国際社会の平和の維持のもっとも重要な役割を占める安全保障理事会の常任理事国を、戦勝国5カ国が独占を続けていることからもあきらかである。これらの国は、すべて核保有国でもある。

「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」とある。もしこの理念が現実の国際社会の中にもあるのであれば、戦後70年近くにわたって世界の憲法の中でも稀な平和主義を掲げる憲法を維持してきたわが国こそ、安全保障理事会の常任理事国という「名誉ある地位」を得て当然のはずである。しかし、現実には得られていない。

さらに、戦後の国際社会は実際に多くの戦争、紛争を経験してきた。「平和を愛する諸国民」同士が、戦争を繰り返してきたのである。また日本の国民を拉致し、日本に向けてミサイルを発射する北朝鮮も国際社会の一員である。国際関係は日々、変化するものである。終わったと思われていた冷戦が、ウクライナ危機で復活しつつある。またアメリカとの軍事同盟を1992年に破棄したフィリピンが、中国の脅威の前に再びアメリカとの軍事同盟を組んだ。これが、国際社会の現実である。

日本国憲法のすべての前提には、日本国民の「安全と生存」の保持があるはずである。これを、「平和を愛する諸国民」を信頼して保持できるのか否かが問われるべきなのである。

日本は、9条の規定にかかわらず、すでに現実に自衛隊という紛れも無い「戦力を保持しており、アメリカとの軍事協定の中でわが国の「安全と生存」を保持している。日本の「安全と生存」の保持の実際のあり方と、憲法前文、9条との間には間違いなく大きなギャップがある。ふと思い出したのが、1994年の自民党・社会党・さきがけの連立政権である。当時の自民党は、政権復帰のために、社会党左派の、護憲主義者の村山富一氏に国政を委ねた。その際に自民党中枢が村山氏に尋ねたのはたった二点だったという。ひとつは、自衛隊を解体するのか、もう一つが日米安全保障条約を破棄するのか。村山氏の答えはいずれもノーであったという。

集団的自衛権をめぐって、憲法解釈の変更が議論されている。今こそ、日本の「安全と生存」の保持のあり方を問いなおすいい機会である。私はその議論は、憲法前文の世界情勢「観」の見直しから始めるべきだと考えている。

障害者差別解消法施行へ

障害者差別解消法の施行(2016年4月)

1.国連障害者基本条約の批准
2.障害者差別解消法
3.「社会的障壁除去」の作業フロー
4.施行に向けての課題
5.補遺

1.国連障害者基本条約の批准

障害者差別解消法は、2013年6月19日参議院本会議で全会一致で可決され、成立した。これは、2006年12月、国連で採択された障害者権利条約の批准のための国内法整備の一環であり、その最終段階のものであった。

まず、2011年8月、障害者基本法が改正された。この改正では、障害の有無にかかわらず、人格と個性を尊重する「共生社会」の実現が目的に掲げられ(第1条=条文は文末、以下同様)、また、障害者の定義も見直され、「制度や慣行など社会的障壁により日常・社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」、とされた(第2条)。さらに政府に障害者基本計画の策定を義務づけ(第11条)、その計画策定への意見具申や、計画の実施の監視のために「障害者政策委員会」の設置も決められた(第32条 )。委員会は、2012年5月に設置され、その初代委員長が石川准静岡県立大教授であった(任期は2年。2014年8月段階で後任は未定)。

その障害者基本法の改正を受けて作られたのが、障害者差別解消法であった。そして、この障害者差別解消法の成立をもって国内法の整備が終わったとして、2013年12月、国連障害者権利条約が批准されることとなったのである。

2.障害者差別解消法

この法律は、先に成立した改正障害者基本法に則り、「社会的障壁」の除去について、行政機関等は義務(第7条2)とされ、民間の事業者は努力義務(第8条2)とされた。しかし、行政機関等や事業者は、社会的障壁の除去が求められているわけではなく、障害者からの除去を求める「意思の表明」(第7条2、第8条2)があってはじめてその除去が義務ないしは努力義務として実施されることになっている。さらに、除去の実施が義務である行政機関等も、除去のために「負担が過重」である場合は、その義務が免除される規定になっている(第7条2)。

また、「政府は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策を総合的かつ一体的に実施するため、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。」(第6条)とされている。この法律が実効をもって施行されるためには、政府がこの基本方針を速やかに定めなければならない。その方針を定める際には、実際の社会的障壁の除去にいたる作業フローを多面的に検討する必要がある。

3.「社会的障壁除去」の作業フロー

社会的障壁が世の中のあらゆるところに存在するものである以上、その除去に取り組むケースは数限りなく出てくるはずである。ここでは、【障害者が、視覚等が不自由といった理由で、ある公共図書館にある、ある紙の書籍が利用できないという社会的障壁に直面したケース】を例として取り上げ、行政機関等や事業者に求められる対応を検討していきたい。

作業フローは、まず、「障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明」(第7条2)として、障害者が、ある図書館でそこの所蔵本の紙の書籍による読書ができないという「社会的障壁」の除去、つまり書籍の点字化、朗読、電子書籍化による音声読み上げや、拡大などを求める「意思の表明」を行うことから始まる。

そしてその表明を受けた「行政機関等」である公共図書館は、「社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。」(第7条2)ので、除去の実施に取り組むことになる。この作業フローの中で、少なくとも以下の3点は明確にされる必要がある。

第一は、【誰に表明するのか】である。まず「意思の表明」を誰に行うのかが問題となる。障害者には、一般には、「意思の表明」を誰にすればいいかは不明であるはずで、図書館職員の誰もがこの表明を受ける可能性があることになる。このため図書館では少なくとも、その表明を受け取る担当者が決められていなければならず、全職員にそのような「意思の表明」があった場合に、それを担当者につなげなければならないことが周知されていなければならない。

第二は【表明があった場合の対応】である。障害者からの、紙の書籍のままでは読書ができない、という「意思の表明」に対する対応方法も明確にされていなければならない。そこでは、①「意思の表明」を受けたことの確認(表明した障害者の氏名、受理日、受理者など)。②回答の期限、回答の方法の提示、が最低限必要である。その回答期限は、受理した機関によって大きな差があってはならないので、標準的な期限が定められるべきであろう。また、回答の方法は、「意思の表明」をした障害者の障害に応じて、電話、メール、郵送などの手段が、障害者と協議をもって決められるべきである。

第三は【回答の内容】である。行政機関等は、除去の実施についての合理的配慮が求められており、基本的には回答には、いつまでにどのような方法で社会的障壁の除去の実施を行うか、が記される必要がある。また障害者差別解消法では、障害者からの「意思の表明」があった場合の対応について、「その実施に伴う負担が過重でないときは」(第7条2,第8条2)という留保条件がつけられている。もし、障害者からの「意思の表明」にたいして、負担が過重であることを理由に対応しないとなった場合、その根拠、基準の説明が必要となる。また、その基準が、図書館ごとに異なることになると、対応できないことの当事者の納得や社会的合意を得ることは困難になる。「過重な負担の基準」についての、なんらかの指針も必要となろう。

ここでは、社会的障壁の除去が義務づけられている「行政機関等」を例としてとりあげてきたが、事業者はあくまで努力義務であるから、対応は不要ということにはならないはずである。たとえば、私立大学の図書館が障害者から読書についての社会的障壁の除去の表明があった場合に、事業者なのでその義務はないから、といって拒否できるであろうか?

障害者にとって、社会的障壁の除去の表明の相手が、行政機関等であるか、事業者であるかは、じつは関心のないことである。実際に除去されるかどうかが問題なのである。A社は誠実に対応してくれたのに、B社は門前払いだ、ということが起きづらくなる環境作りも必要であろう。

4.施行に向けての課題

障害者差別解消法の施行は、2016年4月であり、あと1年半強を残すにすぎない。しかし、社会的障壁の除去の実施に至る作業は複雑であり、様々なケースへの対応が求められるが、政府の「基本方針」が未だ示されていない。この法律が予定通り施行されるためには、一日も早く基本方針が定められ、それに応じた諸施策の準備が必要である。

2006年12月の国連の障害者権利条約の採択から始まった、日本の障害者政策の全面的見直しの総決算が、この障害者差別解消法ともいえる。この法の成立を受けて、その国連障害者権利条約を日本も批准することになった。

こういった長い道のりを無駄にしないためには、単に政府に対応を求めるだけでなく、この法律の意義を、障害者、行政機関等、事業者らの当事者だけでなく、人口に広く膾炙させる必要である。その広範な理解、支持の上で初めて、この法律のスムーズな施行が可能になるのである。

5..補遺
①障害者政策見直しの推移

2006年12月 国連で障害者権利条約が採択。
2007年9月 権利条約に日本政府署名
2008年5月 権利条約発効(中国など20カ国以上が批准)
2011年8月 改正障害者基本法が成立。
2012年4月 障害者政策委員会初代委員長に石川准氏
2013年4月 障害者差別解消法閣議決定、
2013年6月 障害者差別解消法成立、公布
2013年12月 国連障害者権利条約批准
2014年1月 国連が日本の批准承認
2016年4月 障害者差別解消法施行

②関係法令(本論で触れたもの)

障害者基本法第1条

この法律は、全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのつとり、全ての国民が、障害の有無によつて分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策に関し、基本原則を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の基本となる事項を定めること等により、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。

第2条

この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。一  障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であつて、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。二  社会的障壁 障害がある者にとつて日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。

第11条

政府は、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、障害者のための施策に関する基本的な計画(以下「障害者基本計画」という。)を策定しなければならない。

第32条

内閣府に、障害者政策委員会(以下「政策委員会」という。)を置く。2  政策委員会は、次に掲げる事務をつかさどる。一  障害者基本計画に関し、第十一条第四項(同条第九項において準用する場合を含む。)に規定する事項を処理すること。二  前号に規定する事項に関し、調査審議し、必要があると認めるときは、内閣総理大臣又は関係各大臣に対し、意見を述べること。三  障害者基本計画の実施状況を監視し、必要があると認めるときは、内閣総理大臣又は内閣総理大臣を通じて関係各大臣に勧告すること。3  内閣総理大臣又は関係各大臣は、前項第三号の規定による勧告に基づき講じた施策について政策委員会に報告しなければならない。

障害者差別解消法第6条

政府は障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策を総合的かつ一体的に実施するため、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。第6条 政府は障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策を総合的かつ一体的に実施するため、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。)

第7条

行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。
2 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。

第8条 事業者は、その事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。
2 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障害の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない。

(了)

武雄市ICT教育リンク集

佐賀県武雄市は、2014年4月に、全小学生にタブレット端末を配布。2015年4月には全中学生に配布。2014年5月からは、そのタブレットを活用した反転学習(武雄市では、スマイル学習)、10月からはプログラミング教育などを開始。東洋大学は、このスマイル学習,プログラミング教育の検証作業を行っています。本ページは、その関連リンク集です。

◆武雄市「ICTを活用した教育」2014年度第二次報告要約版→東洋大学が行った武雄市の「ICTを活用した教育」についての第二次検証報告(2014年9月)の要約版です、
https://www.city.takeo.lg.jp/kyouiku/docs/20150928kyouiku02.pdf

◆武雄市「ICTを活用した教育」2014年度検証報告Kindle版→上記の報告の要約版+本編のKindle版(500円)です。
http://www.amazon.co.jp/dp/B0175XMFAW

◆プログラミング学習についての、東洋大竹村学長、南場DeNA会長の対談(児童作品の動画があります)
http://www.toyo.ac.jp/site/gakuhou/dena-toyo.html

◆東洋大学学報「産学官連携によるICT教育の推進を目指してhttp://www.toyo.ac.jp/site/gakuhou2014/51428.html

◆プログラミング学習・記者発表(2014年6月25日)「武雄市にて「武雄市✗DeNA✗東洋大学 小学校1年生向けプログラミング教育実証研究プロジェクト」(ustream中継)http://www.ustream.tv/recorded/49176273

◆川崎修平(DeNA/CTO)会見全文http://dena.com/jp/csr/programing-education/detail/

◆プログラミング教育開始の会見記事(2014年6月)
http://www.huffingtonpost.jp/2014/06/25/takeo-programming-tomoko-namba_n_5531849.html

民自公「3党合意」は、認めてはならない(上)

日本社会の将来像を描けないまま、財政再建の一里塚に過ぎない5%増税を無理矢理、今国会で決める必要はない。各党は、税、社会保障、防災、国際競争力強化などの一体改革案を国民に提示し、総選挙で民意を問うべき。そのために増税が半年遅れても(たぶん、1,2年増税を決められないとやばいが)、国債はもつ(ギリシャにはならない)。

野田政権は、消費税10%を「社会保障と税の一体改革」として実現しようとしている。増税は必要である。ヨーロッパ諸国が20%から25%の消費税(付加価値税)を取っているのに、それらの諸国以上に高齢化が進む日本が、5%の消費税ですむはずがない。財政再建のためだけで、15%は不可避であろう。また決められない政治からの脱却も必要である。
しかし、消費税10%では、財政再建のほんの一歩が切られるに過ぎず、社会保障改革の原資にはならない。
成長戦略だけで財政再建などできるわけがない。しかし、デフレ脱却のための財政・金融の一体的取り組みがなされないままで、増税だけを決めるのは順序が逆である。しっかりとしたデフレ脱却策が打たれ、その効果が出始めてから増税すべきである。(続く)

消費税は20%

 岡田副総理。いいですね。野田政権の「社会保障と税の一体改革」が、一体じゃないことを明確にした。野田政権の社会保障改革は、単なる高齢化による経費増を補填するだけの話。民主党マニフェストの年金改革(基礎年金部分の全額国庫負担など)は、入っていない。岡田氏はこのことを明らかにし、今の5%増のあとに、すぐに次の消費税アップがあることを明らかにした。この年金改革分でたぶん、消費税はさらに4%はアップする。
さらに、財政赤字解消に6%は必要とも。消費税は、5%+4%(年金改革)+6%(財政赤字解消)で、合計15%プラスに。これで、消費税は20%に。民主党の消費税10%は、えらそうに「社会保障と税の一体改革」なんて言ってるけど、単に高齢化の進展による社会保障費増の補填策にすぎない。
社会保障と税の一体改革、というのであれば、将来的に20%(たぶんそれ以上)になることを示した上で、当面5%上げさせてください、というべきであろう。(了)

二院制を考える

 1月に始まる国会は、衆参ねじれ、である。野党の合意がなければ、すべての法律は成立しない状態である。(予算は別だが、予算関連法が通らなければ結局同じこと)
この状態を回避するために、参議院の権限を縮小させるという議論があるが、私はそのことに慎重である。2009年の衆院選。民主党は結果的にまったく守れないインチキ!マニフェストを掲げ、それで政権に着いた。国民はだまされたといった過言ではない。もちろん、だまされた国民に最終的な責任はあるが。
 2010年の参院選で民主党が負けなければ、その2009年の選択の誤りを、国民は4年引きずることになっていた。衆院選圧勝後の民主党の政権運営を思い出して欲しい。できる限り国会審議を短くして、強行採決の繰り返し、であった。野党自民党が、自分たちもしなかった強引な国会運営と強く抗議したが、衆参ともに多数を占めていた与党の数の暴力の前に無力であった。

 そこで、参院選の与党敗北でこの「ねじれ」状態となった。あの強引な国会運営が続いたいたら、と思うとぞっとする。二院制のよさに救われたのではないか。ねじれ状態は、決して望ましいことではない。与野党合意でしか法案が通らないということになると、法案を通すためには事実上の大連立になってしまうのも事実である。
 しかし、だからといって参院の権限縮小(ソールズベリードクトリンなど)に進むのには、私はまだ議論が不足していると思う。(了

衆参選挙制度の「一体改革」を

衆院定数削減。小選挙区マイナス5、比例マイナス80の案が。現行の300+180が、295+100に。定数削減なら、現行の比率のまま下げるのが常識。比例の比率を大きく下げるということは日本の政治の小選挙区「度」が上がり、二大政党以外は不利に。⇒FB 小選挙区「度」を、定数削減を機に上げる、というのであれば、その是非の議論をしっかりとしなければならない。また、参議院は、全国の比例区と、定数1から5人の地方区となっており、小選挙区「度」は極めて低い(地方の1人区のみが結果的な小選挙区)。衆議院が二大政党を志向し、参議院が複数政党を志向する選挙制度となっている。衆参が「ねじれ」になるのは、選挙の時期の違いだけでなく、この選挙制度の違いによるところが大きい。日本に「小選挙区=二大政党」制がふさわしいのかどうか。衆参のねじれが恒常的となった現状をどうするのか。衆参選挙制度の「一体改革」を踏まえた議論が、なぜ行われないのか。

大連立はあるか

 水面下で、大連立が模索されている。当然のことだと思う。衆院は与党多数、参院は野党多数の「ねじれ」状態が生じたからである。実は、参院で、衆院の第一党が過半数を取ったことはここ20年ほどないのは事実である。しかし、小渕内閣のわずかな時期を除いて「連立与党」としてねじれを解消してきた。今は、その連立与党で参院で過半数を大きく割り込んでいるのだから、事態は深刻である。この状態の解消にはいくつかの方法がある。
①部分連合
一番安易なのは、政策ごとの部分連合である。しかしこれは、与党にとっては、政策ごとに野党の中から好きなところと組めばいいのだから、都合がいい。しかし、野党からすると、単に与党にいいとこどりされるだけの話になってしまう。やはり、与野党すべてが一致する政策以外は、団結して抵抗するのが自然である。
②衆院解散
衆院を解散したところで、民主が勝っても、参院の過半数割れは解消されるわけではない。逆に自民が勝つと、自民の参院の議席は84に過ぎず、過半数にはるかに足らず、より厳しいねじれが発生する。与野党ともに、解散に大義はない。
③政界再編
これは、もっともエネルギーが必要となる。与党である民主党が分裂して、政権を降りる道を自ら選ぶとは考えにくい。
そうなると、このままずるずると、大半の法律が成立しないまま、いわば政策がストップした状態で、3年後の参院選、総選挙を待つのか、ということになる。そこで、この状況を打開するのは、民主と自民の「大連立」が、もっとも容易な道、ということになる。
おそらく、今は複数のルートでこの「大連立」が模索されていると思う。大きな障害は、民主党が、菅・仙谷連合と、小沢・鳩山連合とに事実上の分裂状態にあることだ。「大連立」をきっかけに、民主分裂の可能性も零ではない。
まだまだ、政権の行く先は見えてこない・・。

マクロ政策なき政府とは・・・

 自民党政権では、経済財政諮問会議が、国全体のマクロ政策や予算を司っていた。予算も、まず省庁縦割りを超えて、「骨太の方針」を決め、そこからシーリングが決まり、各省庁が概算要求。
 その経済財政諮問会議を止めたのに、その替わりになるはずの「国家戦略局」が機能せず。縦割りを止める司令塔がないのだ。結局、各省庁に概算要求を任せてしまった。マニフェストの金額が大きい省庁は、どんなに自分のところの従来予算を削っても、概算要求がふくらむのは必至。
 民主党は、マニフェストの原資は、縦割りを是正したり、特別会計から捻出するといっていたはず。90兆円予算に、40兆円の税収。差額はすべて赤字国債にするのか?さらに、第二次補正も加えれば、さらに赤字は拡大。
 1日も早く、日本経済全体のマクロ政策や、国家予算全体をコントロールできるはずの「国家戦略局」。1日お早く動き出さないと、日本経済は大混乱になってしまう。

鳩山民主党の外交は、オバマとの連携を第一に

 私は、アメリカ民主党を支持しているわけではない。アメリカが仕掛けた多くの戦争は、民主党政権であった。しかし、オバマは違う!私は、6月のカイロ大学でのオバマの演説を、偶然テレビで実況で聴いた。歴史に残る名演説だった。世界の指導者で、いや学者を含めて、イスラム教とキリスト教の宗教史を語り、その融和を説ける人がいるだろうか?それも、実際に権力を持つものとして、「イスラエルの好きにはさせない」と断言までするのであるから。
 ノーベル平和賞は、当然である。日本の民主党の外交の基本は、オバマ追従でいいと思う。沖縄の普天間問題で、オバマと摩擦を起こすのは、なんとしても避けるべきだ。沖縄県民に、日本の安全保障に過度の負担を負わせている現状は、変えなければならない。しかし、なんとか今の案の範囲での調整をはかって欲しい。
 民主党の対米強硬路線は、小沢氏の持論である。それは、勘違いでイラクに攻め込む、ブッシュ政権に対しては有効であっても、核廃絶を含めて、真摯に世界平和を希求するオバマに対しては、民主党自身にとってもマイナスだと思う。
 社民党の福島党首も、ここでごねずに、大きな流れを掴んでほしいもの!!
(英語を勉強する人に、この、new biginning と題した講演の全文記憶をお奨めしたいほど・・・)