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旧3本の矢を思い返す

安倍政権は、サミットで金融緩和、財政出動、構造改革でとりまとめを狙っている。なんのことはない、これは旧3本の矢だ。金融緩和は、利上げをしたくて仕方ないアメリカを巻き込んでの合意は困難。とりわけ、アメリカは円安誘導となる日本の金融緩和を強く牽制している。
財政出動。これをG7でもっとも財政状況が悪い、日本が主張するのは皮肉な事態だ。金融緩和は、アメリカの牽制で、さらにすでにマイナス金利まで導入して打つ手がない状態だ。構造改革は、今の景気回復には即効性がない。残るのは財政出動しかない。
2020年のプライマリバランス黒字化の目標達成が、極めて難しくなった今、財政出動は野党の攻撃対象となる。それを、G7での合意を旗印に、切り出したいのだろう。財政赤字累増の中での、財政出動は危険な手だ。すくなくとも、そうとう大胆な歳出構造の見直しや構造改革とセットであるべきだ。
旧3本の矢の時に、「構造改革」の矢をしっかりと放っていれば、もう少し事態はマシだったのではないか。岩盤規制を打ち破る、との勇ましい言葉が先行して、明確な成果が見えないまま、抽象的な「新三本の矢」に移行してしまったのは、僕は失政だと思う。
日本経済は、3本の矢の「金融緩和」で回復したのは間違いない。野党が何を言おうが、「株価8000円、円80円。厳しい新卒採用。」といった状況を打ち破る経済政策を、政権を担っていた民主党は何一つ出せなかった。格差とか、インフレ2%が達成できないとかの批判は、説得力はない。
しかし、株価を回復させ円安に導いた「異次元の金融緩和」は、継続性のある政策でないことは,黒田総裁ご本人が一番翌承知していたはずだ。財政赤字で発行した国債を、市場から日銀がかき集め続けられるはずがない。早い段階で、国債増発に歯止めがかけられることが、「異次元緩和」の前提条件だった。
異次元の金融緩和は、銀行にお金を貸しやすくさせる政策だ。企業の側にお金を借りたいというニーズ、投資マインドがなければそもそも効果が出ない政策だ。その投資マインドに火がつけられないまま=笛吹けど(企業が)踊らず=では、いずれ行き詰まる政策だ。
国内外の企業が、日本での投資意欲が高められるような政策、目に見える大胆な構造改革が今こそ求められているのではないか。G7での財政出動合意を目指す前に、企業の投資マインドと国民の消費マインドが高まる政策を、わかりやすく国民に示すべきだ。今一度、旧3本の矢を振り返る時期かもしれない。

日本国憲法の平和主義

日本国憲法の特色に、基本的人権の尊重、三権分立、平和主義があげられるが、前2者は現代の主要国家共通のものであり、平和主義こそが日本国憲法独自の特色である。この平和主義は、憲法前文の「平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会」という認識と、それに基づく憲法9条の「戦争」「武力の行使」を放棄し、「戦力」を保持せず、「交戦権」を認めない、から成っている。
憲法9条の是非やその解釈は、多く議論されているが、私はなによりもこの9条を支える憲法前文の世界情勢や国際関係についての見方、認識について議論すべきだと考えている。

人類は二度の世界大戦を経験しているが、第一次世界大戦では、戦後、戦勝国も軍縮に取り組んだ。戦争のない世界を、軍縮により実現しようという思いがあったのである。しかし、第二次大戦では、敗戦国である日本、ドイツ、イタリアに武装解除を求めたものの、戦勝国は軍縮に取り組むことはなかった。軍縮により平和の実現をはかろうとした第一次大戦後と違い、第二次世界大戦後の国際社会は、戦勝国の武力でもって、平和を維持しようとしてきたのである。
憲法前文にある「平和を維持し、専制と隷従・・を地上から永遠に除去しようと務めている国際社会」とは、日本の憲法9条にある武力放棄でもって平和を志向するものはなく、戦勝国の武力でもって平和を維持しようとしたものなのである。
このことは国連の、国際社会の平和の維持のもっとも重要な役割を占める安全保障理事会の常任理事国を、戦勝国5カ国が独占を続けていることからもあきらかである。これらの国は、すべて核保有国でもある。

「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」とある。もしこの理念が現実の国際社会の中にもあるのであれば、戦後70年近くにわたって世界の憲法の中でも稀な平和主義を掲げる憲法を維持してきたわが国こそ、安全保障理事会の常任理事国という「名誉ある地位」を得て当然のはずである。しかし、現実には得られていない。

さらに、戦後の国際社会は実際に多くの戦争、紛争を経験してきた。「平和を愛する諸国民」同士が、戦争を繰り返してきたのである。また日本の国民を拉致し、日本に向けてミサイルを発射する北朝鮮も国際社会の一員である。国際関係は日々、変化するものである。終わったと思われていた冷戦が、ウクライナ危機で復活しつつある。またアメリカとの軍事同盟を1992年に破棄したフィリピンが、中国の脅威の前に再びアメリカとの軍事同盟を組んだ。これが、国際社会の現実である。

日本国憲法のすべての前提には、日本国民の「安全と生存」の保持があるはずである。これを、「平和を愛する諸国民」を信頼して保持できるのか否かが問われるべきなのである。

日本は、9条の規定にかかわらず、すでに現実に自衛隊という紛れも無い「戦力を保持しており、アメリカとの軍事協定の中でわが国の「安全と生存」を保持している。日本の「安全と生存」の保持の実際のあり方と、憲法前文、9条との間には間違いなく大きなギャップがある。ふと思い出したのが、1994年の自民党・社会党・さきがけの連立政権である。当時の自民党は、政権復帰のために、社会党左派の、護憲主義者の村山富一氏に国政を委ねた。その際に自民党中枢が村山氏に尋ねたのはたった二点だったという。ひとつは、自衛隊を解体するのか、もう一つが日米安全保障条約を破棄するのか。村山氏の答えはいずれもノーであったという。

集団的自衛権をめぐって、憲法解釈の変更が議論されている。今こそ、日本の「安全と生存」の保持のあり方を問いなおすいい機会である。私はその議論は、憲法前文の世界情勢「観」の見直しから始めるべきだと考えている。

障害者差別解消法施行へ

障害者差別解消法の施行(2016年4月)

1.国連障害者基本条約の批准
2.障害者差別解消法
3.「社会的障壁除去」の作業フロー
4.施行に向けての課題
5.補遺

1.国連障害者基本条約の批准

障害者差別解消法は、2013年6月19日参議院本会議で全会一致で可決され、成立した。これは、2006年12月、国連で採択された障害者権利条約の批准のための国内法整備の一環であり、その最終段階のものであった。

まず、2011年8月、障害者基本法が改正された。この改正では、障害の有無にかかわらず、人格と個性を尊重する「共生社会」の実現が目的に掲げられ(第1条=条文は文末、以下同様)、また、障害者の定義も見直され、「制度や慣行など社会的障壁により日常・社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」、とされた(第2条)。さらに政府に障害者基本計画の策定を義務づけ(第11条)、その計画策定への意見具申や、計画の実施の監視のために「障害者政策委員会」の設置も決められた(第32条 )。委員会は、2012年5月に設置され、その初代委員長が石川准静岡県立大教授であった(任期は2年。2014年8月段階で後任は未定)。

その障害者基本法の改正を受けて作られたのが、障害者差別解消法であった。そして、この障害者差別解消法の成立をもって国内法の整備が終わったとして、2013年12月、国連障害者権利条約が批准されることとなったのである。

2.障害者差別解消法

この法律は、先に成立した改正障害者基本法に則り、「社会的障壁」の除去について、行政機関等は義務(第7条2)とされ、民間の事業者は努力義務(第8条2)とされた。しかし、行政機関等や事業者は、社会的障壁の除去が求められているわけではなく、障害者からの除去を求める「意思の表明」(第7条2、第8条2)があってはじめてその除去が義務ないしは努力義務として実施されることになっている。さらに、除去の実施が義務である行政機関等も、除去のために「負担が過重」である場合は、その義務が免除される規定になっている(第7条2)。

また、「政府は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策を総合的かつ一体的に実施するため、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。」(第6条)とされている。この法律が実効をもって施行されるためには、政府がこの基本方針を速やかに定めなければならない。その方針を定める際には、実際の社会的障壁の除去にいたる作業フローを多面的に検討する必要がある。

3.「社会的障壁除去」の作業フロー

社会的障壁が世の中のあらゆるところに存在するものである以上、その除去に取り組むケースは数限りなく出てくるはずである。ここでは、【障害者が、視覚等が不自由といった理由で、ある公共図書館にある、ある紙の書籍が利用できないという社会的障壁に直面したケース】を例として取り上げ、行政機関等や事業者に求められる対応を検討していきたい。

作業フローは、まず、「障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明」(第7条2)として、障害者が、ある図書館でそこの所蔵本の紙の書籍による読書ができないという「社会的障壁」の除去、つまり書籍の点字化、朗読、電子書籍化による音声読み上げや、拡大などを求める「意思の表明」を行うことから始まる。

そしてその表明を受けた「行政機関等」である公共図書館は、「社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。」(第7条2)ので、除去の実施に取り組むことになる。この作業フローの中で、少なくとも以下の3点は明確にされる必要がある。

第一は、【誰に表明するのか】である。まず「意思の表明」を誰に行うのかが問題となる。障害者には、一般には、「意思の表明」を誰にすればいいかは不明であるはずで、図書館職員の誰もがこの表明を受ける可能性があることになる。このため図書館では少なくとも、その表明を受け取る担当者が決められていなければならず、全職員にそのような「意思の表明」があった場合に、それを担当者につなげなければならないことが周知されていなければならない。

第二は【表明があった場合の対応】である。障害者からの、紙の書籍のままでは読書ができない、という「意思の表明」に対する対応方法も明確にされていなければならない。そこでは、①「意思の表明」を受けたことの確認(表明した障害者の氏名、受理日、受理者など)。②回答の期限、回答の方法の提示、が最低限必要である。その回答期限は、受理した機関によって大きな差があってはならないので、標準的な期限が定められるべきであろう。また、回答の方法は、「意思の表明」をした障害者の障害に応じて、電話、メール、郵送などの手段が、障害者と協議をもって決められるべきである。

第三は【回答の内容】である。行政機関等は、除去の実施についての合理的配慮が求められており、基本的には回答には、いつまでにどのような方法で社会的障壁の除去の実施を行うか、が記される必要がある。また障害者差別解消法では、障害者からの「意思の表明」があった場合の対応について、「その実施に伴う負担が過重でないときは」(第7条2,第8条2)という留保条件がつけられている。もし、障害者からの「意思の表明」にたいして、負担が過重であることを理由に対応しないとなった場合、その根拠、基準の説明が必要となる。また、その基準が、図書館ごとに異なることになると、対応できないことの当事者の納得や社会的合意を得ることは困難になる。「過重な負担の基準」についての、なんらかの指針も必要となろう。

ここでは、社会的障壁の除去が義務づけられている「行政機関等」を例としてとりあげてきたが、事業者はあくまで努力義務であるから、対応は不要ということにはならないはずである。たとえば、私立大学の図書館が障害者から読書についての社会的障壁の除去の表明があった場合に、事業者なのでその義務はないから、といって拒否できるであろうか?

障害者にとって、社会的障壁の除去の表明の相手が、行政機関等であるか、事業者であるかは、じつは関心のないことである。実際に除去されるかどうかが問題なのである。A社は誠実に対応してくれたのに、B社は門前払いだ、ということが起きづらくなる環境作りも必要であろう。

4.施行に向けての課題

障害者差別解消法の施行は、2016年4月であり、あと1年半強を残すにすぎない。しかし、社会的障壁の除去の実施に至る作業は複雑であり、様々なケースへの対応が求められるが、政府の「基本方針」が未だ示されていない。この法律が予定通り施行されるためには、一日も早く基本方針が定められ、それに応じた諸施策の準備が必要である。

2006年12月の国連の障害者権利条約の採択から始まった、日本の障害者政策の全面的見直しの総決算が、この障害者差別解消法ともいえる。この法の成立を受けて、その国連障害者権利条約を日本も批准することになった。

こういった長い道のりを無駄にしないためには、単に政府に対応を求めるだけでなく、この法律の意義を、障害者、行政機関等、事業者らの当事者だけでなく、人口に広く膾炙させる必要である。その広範な理解、支持の上で初めて、この法律のスムーズな施行が可能になるのである。

5..補遺
①障害者政策見直しの推移

2006年12月 国連で障害者権利条約が採択。
2007年9月 権利条約に日本政府署名
2008年5月 権利条約発効(中国など20カ国以上が批准)
2011年8月 改正障害者基本法が成立。
2012年4月 障害者政策委員会初代委員長に石川准氏
2013年4月 障害者差別解消法閣議決定、
2013年6月 障害者差別解消法成立、公布
2013年12月 国連障害者権利条約批准
2014年1月 国連が日本の批准承認
2016年4月 障害者差別解消法施行

②関係法令(本論で触れたもの)

障害者基本法第1条

この法律は、全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのつとり、全ての国民が、障害の有無によつて分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策に関し、基本原則を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の基本となる事項を定めること等により、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。

第2条

この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。一  障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であつて、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。二  社会的障壁 障害がある者にとつて日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。

第11条

政府は、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、障害者のための施策に関する基本的な計画(以下「障害者基本計画」という。)を策定しなければならない。

第32条

内閣府に、障害者政策委員会(以下「政策委員会」という。)を置く。2  政策委員会は、次に掲げる事務をつかさどる。一  障害者基本計画に関し、第十一条第四項(同条第九項において準用する場合を含む。)に規定する事項を処理すること。二  前号に規定する事項に関し、調査審議し、必要があると認めるときは、内閣総理大臣又は関係各大臣に対し、意見を述べること。三  障害者基本計画の実施状況を監視し、必要があると認めるときは、内閣総理大臣又は内閣総理大臣を通じて関係各大臣に勧告すること。3  内閣総理大臣又は関係各大臣は、前項第三号の規定による勧告に基づき講じた施策について政策委員会に報告しなければならない。

障害者差別解消法第6条

政府は障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策を総合的かつ一体的に実施するため、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。第6条 政府は障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策を総合的かつ一体的に実施するため、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。)

第7条

行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。
2 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。

第8条 事業者は、その事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。
2 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障害の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない。

(了)

武雄市ICT教育リンク集

佐賀県武雄市は、2014年4月に、全小学生にタブレット端末を配布。2015年4月には全中学生に配布。2014年5月からは、そのタブレットを活用した反転学習(武雄市では、スマイル学習)、10月からはプログラミング教育などを開始。東洋大学は、このスマイル学習,プログラミング教育の検証作業を行っています。本ページは、その関連リンク集です。

◆武雄市「ICTを活用した教育」2014年度第二次報告要約版→東洋大学が行った武雄市の「ICTを活用した教育」についての第二次検証報告(2014年9月)の要約版です、
https://www.city.takeo.lg.jp/kyouiku/docs/20150928kyouiku02.pdf

◆武雄市「ICTを活用した教育」2014年度検証報告Kindle版→上記の報告の要約版+本編のKindle版(500円)です。
http://www.amazon.co.jp/dp/B0175XMFAW

◆プログラミング学習についての、東洋大竹村学長、南場DeNA会長の対談(児童作品の動画があります)
http://www.toyo.ac.jp/site/gakuhou/dena-toyo.html

◆東洋大学学報「産学官連携によるICT教育の推進を目指してhttp://www.toyo.ac.jp/site/gakuhou2014/51428.html

◆プログラミング学習・記者発表(2014年6月25日)「武雄市にて「武雄市✗DeNA✗東洋大学 小学校1年生向けプログラミング教育実証研究プロジェクト」(ustream中継)http://www.ustream.tv/recorded/49176273

◆川崎修平(DeNA/CTO)会見全文http://dena.com/jp/csr/programing-education/detail/

◆プログラミング教育開始の会見記事(2014年6月)
http://www.huffingtonpost.jp/2014/06/25/takeo-programming-tomoko-namba_n_5531849.html

民自公「3党合意」は、認めてはならない(上)

日本社会の将来像を描けないまま、財政再建の一里塚に過ぎない5%増税を無理矢理、今国会で決める必要はない。各党は、税、社会保障、防災、国際競争力強化などの一体改革案を国民に提示し、総選挙で民意を問うべき。そのために増税が半年遅れても(たぶん、1,2年増税を決められないとやばいが)、国債はもつ(ギリシャにはならない)。

野田政権は、消費税10%を「社会保障と税の一体改革」として実現しようとしている。増税は必要である。ヨーロッパ諸国が20%から25%の消費税(付加価値税)を取っているのに、それらの諸国以上に高齢化が進む日本が、5%の消費税ですむはずがない。財政再建のためだけで、15%は不可避であろう。また決められない政治からの脱却も必要である。
しかし、消費税10%では、財政再建のほんの一歩が切られるに過ぎず、社会保障改革の原資にはならない。
成長戦略だけで財政再建などできるわけがない。しかし、デフレ脱却のための財政・金融の一体的取り組みがなされないままで、増税だけを決めるのは順序が逆である。しっかりとしたデフレ脱却策が打たれ、その効果が出始めてから増税すべきである。(続く)

真の社会保障と税の一体改革を

日本のプライマリバランスは、年20兆円ほどの赤字である。財政赤字40兆円から、国債費(国債返却分)の20兆円をマイナスする。この分が、赤字類増分である。これを、ゼロに、つまりプライマリバランスを黒字化することで、まずは借金が増えない状態に持っていける。(それでも、1000兆円の借金は減らずに残る・・)この20兆円は、消費税8%(全額、国に入るとして)に相当する。
消費税を13%にして、ようやく借金が増えない状態に持っていけるということである。今回の消費税増税は、プライマリバランス黒字化に接近させる第一歩としての意味しかない。消費税を10%にして、社会保障を充実されるなんてことはありえない。

それなのに、民主党と自民党が、「社会保障と税の一体改革」などとして、消費税増税が、福祉の向上につながるがごとくの議論をしていることが、不思議でならないというか、国民を愚弄していると思う。

野田総理は、プライマリバランスの黒字化を2020年に実現すると国際公約している。そのときに、社会保障を充実させなくても、あと3%の増税は最低でも必要になる。

少子高齢化、人口減少に伴う年金、生活保護、少子化対策等の政策経費は、消費税5%分ほどに相当するのではないか。社会保障と税の一体改革を言うのであれば、赤字是正だけで8%、社会保障充実に5%、と消費税が20%近くなることが不可避であることを国民に示した上で、社会保障にどこまで財政資金をつぎ込むのか、成長戦略による税収増をどこまで見込めるのか、行革等による歳出削減はどこまで可能なのか、こういった議論をすべきではなかったか。

社会保障の充実にも、財政再建にも遥かに及ばない5%の増税に、「大連立」を組むことには、国民は納得しまい。仮に、増税法案が通っても、次の総選挙で増税のリセットと、真の社会保障と税の一体改革を再度、しっかり議論しようとする政党(新政党?)が多数を占めることで、民主、自民に真の民主主義のあり方を見せつけたいものだ。

大飯再稼働の是非

今週にも、大飯原子力発電所の再稼働が決まる。政府の安全基準を仮に認めたにしても、この夏は大飯原子力発電所はその安全基準を満たしていない。野田総理は、国民に対してこの安全基準を満たさないままでの再稼働であることをしっかりと説明すべきである。「今は安全基準を満たしていないが、いずれ満たされるので、電力不足対策のために再稼働する」と。

ちなみに、安全基準を満たしていない項目は、免震事務棟(平成15年度完成)、フィルター付きベント設備(15年度完成)、防波堤のかさ上げ(13年度)など重要項目が並ぶ。これらの設備が完成してから=平成15年度以降=再稼働、ならわかる。「平成15年度までは安全ではないが、経済や生活のために動かす」と国民にしっかりと説明すべきである。

大阪市の橋本市長の主張は明確である。「安全でないのに動かすのだから、リスクを最小限にするために、夏の期間だけ動かせ」である。7月から9月の3ヶ月だけ原子力発電所を稼働させれば、年間のリスクは、4分の1(12分の3)になる。

大飯原子力発電所の再稼働については、4つの選択肢がある。①安全基準を満たしていないが、ともかく再稼働、②安全基準を満たしていないが、夏場の電力供給確保のために、夏場のみ再稼働、③安全基準を満たすまで(平成15年度)再稼働せず。④政府の安全基準は信じられないので、再稼働しない、である。

政府は説明不足のまま①を決める。大阪橋下市長は②である。②、③、④の場合に問題になるのは、関西電力の経営である。原子力発電所を再稼働しなければ、現在の赤字状況が続き、来年にも債務超過に。東京電力に続いて、公的資金を投入して国有化するか、大幅な電気料金引き上げかのどちらかの選択が迫られることになる。

 

電気の需要や供給について、その値に幅がありうることは承知している。需要は気温はもちろん、節電によって左右される。供給も、企業の自家発電施設の活用などによって、積み上げが可能である。しかし、関西電力のこの夏の15%という不足幅は、最大でも数%動く程度である。この夏、大飯原子力発電所を動かさなかった場合の関西の電力不足は、どうやっても解消できるものではない。動かしても、それなりの不足が生じることも間違いない。

また、電力会社の経営に、まだまだ合理化のゆとりがあることも承知している。しかし、電源を原子力から火力にシフトすることに因る莫大なコストアップを吸収するほどのゆとりはない。どんなに費用を削ったところで、焼け石に水である。

 

政府は、上記の①、つまり危険覚悟での大飯原子力発電所の再稼働を決める。これは、電力不足の回避と、大幅な電気料金引き上げ(あるいは、関西電力の経営破綻)を回避するための、いわば究極の選択であった。この政府の選択をどう受け止めるか、である。再稼働反対には、電力不足や電気料金引き上げを覚悟する必要がある。その上で、上記①本格再稼働、②夏場だけの再稼働、③安全基準を満たした上での再稼働、④当面再稼働せず、の4つについて、どれが望ましいのかをしっかりと議論しなければならない。私は、橋下市長の②に近い立場にいる・・・。

 

本稿では、当面の大飯原子力発電所の再稼働の是非について論じた。中期的には、電気市場の自由化、電力会社の発送電分離の是非、原発、火力、再エネなどの電源の比率など、多くの論点がある。この点については、別途論じたい。

なぜ,復興増税=法人税・所得税,社会福祉増税=消費税?

民主党の税調が,復興増税に3A案(法人税,所得税),B案(A案にたばこ税),C案(消費税)の3案提示。野田総理が,C案の消費税増税を否定して,A,B二案から一つを選ぶことになった。
ここで冷静に考えなければならないのは,百歩譲って,仮に増税が必要だとして,復興のための負担を,国民全体(消費税)ではなく,なぜ累進課税,つまり高所得者を中心に負わせるのか,である。1000年に一度の災害だからこそ,国民全体で,つまり消費税で負担すべきではないのか。
同時に,なぜ高齢化などに伴う社会福祉の負担増を,消費税に負わせるのか,である。所得が少ない人でも負担する消費税を上げて,それを所得の少ない人に回す,というのは,おかしな話である。
震災復興費用は,所得税・法人税で,社会福祉費用は,消費税で,この単純な図式にしがみついているだけで,野田総理の経済学の基礎的な素養が疑われるといわざるを得ない。(念のためであるが,私は,3~5年程度の「増税なき震災復興」を主張し続けている。)

航空行政失敗のつけをどうする?

日本の航空行政は、日本の公共事業行政の負の象徴ではないか。空港数は40年間で57から98に。47都道府県で空港のない県は恥ずかしい、といった信じられない理由で空港は増え続けてきた。静岡空港建設時に、新幹線の駅が県内に6つ(熱海・三島・新富士・静岡・掛川・浜松)あるのに、空港は必要か、といった議論が起きたように、他の交通手段との総合化の発想もなかった。
この結果、多くの空港は赤字。JALの赤字も、準国策航空会社として、需要のない地方空港への乗り入れを事実上強制されたことによるところも大きい。
この間に、韓国のインチョン空港を見るまでもなく、世界の多くの国では国際線ハブ空港に、国内線がスポークのように配置されている。今、日本の30余りの空港からインチョン便が出ていることをしっかりと受け止めなければならない。地方空港から海外に出る場合に、羽田から時間をかけて成田に移動するよりは、インチョン空港へいってそこから欧米などへ飛び立つ方がよほど便利なのだ。
狭い国土に、100近い空港がひしめいている。主要な国際空港は、成田、中部、関西の3つ(羽田を入れると4つだが)。それがネットワークで結ばれていないのだ。この日本の長年の航空行政のつけを、これからどう修正していくのか。出てくる知恵が、「関空・伊丹の『経営』統合」では、あまりに情けない。経営統合は利用者にとっての何のメリットもない、関空の赤字の形式的な解消策にすぎないのだ。

補正予算は、来年度予算と連動を

補正予算審議が、今国会の目玉ですね。その額や、国債を増発するか否かが議論になっています。しかし、財政制約が厳しい中での、追加的な予算執行ですから、その使い方が厳しく問われるはずです。

私は、日本のこれからの成長に結びつくものに、集中的に予算を投入すべきであり、各省庁の要望を総花的に並べたものであってはならないと思っています。麻生内閣の、平成21年の15.7兆円の補正が、まさにこれに当たります。ともかくカネは使いますから、一時的な景気回復は実現する、しかしそれが持続的なものにならないのです。

5年、10年先を見越した明確な「成長戦略」が必要で、その一環としての補正予算であるべきなのです。そしてそれは、来年度予算との整合性が求められるのは言うまでもありません。

さらに、子ども手当のような、政策的な合理性に欠ける(これは、別の機会に述べます)政策の停止などの言質を取ることも、戦術的にはありうると思います。

ねじれ国会だからこそ、野党の政策力が問われるのです。