大飯再稼働の是非

今週にも、大飯原子力発電所の再稼働が決まる。政府の安全基準を仮に認めたにしても、この夏は大飯原子力発電所はその安全基準を満たしていない。野田総理は、国民に対してこの安全基準を満たさないままでの再稼働であることをしっかりと説明すべきである。「今は安全基準を満たしていないが、いずれ満たされるので、電力不足対策のために再稼働する」と。

ちなみに、安全基準を満たしていない項目は、免震事務棟(平成15年度完成)、フィルター付きベント設備(15年度完成)、防波堤のかさ上げ(13年度)など重要項目が並ぶ。これらの設備が完成してから=平成15年度以降=再稼働、ならわかる。「平成15年度までは安全ではないが、経済や生活のために動かす」と国民にしっかりと説明すべきである。

大阪市の橋本市長の主張は明確である。「安全でないのに動かすのだから、リスクを最小限にするために、夏の期間だけ動かせ」である。7月から9月の3ヶ月だけ原子力発電所を稼働させれば、年間のリスクは、4分の1(12分の3)になる。

大飯原子力発電所の再稼働については、4つの選択肢がある。①安全基準を満たしていないが、ともかく再稼働、②安全基準を満たしていないが、夏場の電力供給確保のために、夏場のみ再稼働、③安全基準を満たすまで(平成15年度)再稼働せず。④政府の安全基準は信じられないので、再稼働しない、である。

政府は説明不足のまま①を決める。大阪橋下市長は②である。②、③、④の場合に問題になるのは、関西電力の経営である。原子力発電所を再稼働しなければ、現在の赤字状況が続き、来年にも債務超過に。東京電力に続いて、公的資金を投入して国有化するか、大幅な電気料金引き上げかのどちらかの選択が迫られることになる。

 

電気の需要や供給について、その値に幅がありうることは承知している。需要は気温はもちろん、節電によって左右される。供給も、企業の自家発電施設の活用などによって、積み上げが可能である。しかし、関西電力のこの夏の15%という不足幅は、最大でも数%動く程度である。この夏、大飯原子力発電所を動かさなかった場合の関西の電力不足は、どうやっても解消できるものではない。動かしても、それなりの不足が生じることも間違いない。

また、電力会社の経営に、まだまだ合理化のゆとりがあることも承知している。しかし、電源を原子力から火力にシフトすることに因る莫大なコストアップを吸収するほどのゆとりはない。どんなに費用を削ったところで、焼け石に水である。

 

政府は、上記の①、つまり危険覚悟での大飯原子力発電所の再稼働を決める。これは、電力不足の回避と、大幅な電気料金引き上げ(あるいは、関西電力の経営破綻)を回避するための、いわば究極の選択であった。この政府の選択をどう受け止めるか、である。再稼働反対には、電力不足や電気料金引き上げを覚悟する必要がある。その上で、上記①本格再稼働、②夏場だけの再稼働、③安全基準を満たした上での再稼働、④当面再稼働せず、の4つについて、どれが望ましいのかをしっかりと議論しなければならない。私は、橋下市長の②に近い立場にいる・・・。

 

本稿では、当面の大飯原子力発電所の再稼働の是非について論じた。中期的には、電気市場の自由化、電力会社の発送電分離の是非、原発、火力、再エネなどの電源の比率など、多くの論点がある。この点については、別途論じたい。