フライング(発売前)書評 樋渡啓祐著『沸騰!図書館』(角川oneテーマ21)

【5月10日発売のこの本を、9日、twitterで紹介しました。】

「閉館は夕方。それ以降に利用したいと思う市民がいてもまず利用できない」「僕はこういう図書館が嫌い」。「本は人生を豊かにする。その本が集まる図書館は多くの人が利用できるようにするべきだ。」。御意!

改革後、来館者は3.2倍。つい先日、100万人を突破。まさに「多くの人が利用」できるようになった。ちなみに、改革前後で、年間開館時間は、なんと2倍超。開館時間が延び、休館日がなくなったから。それにしても、2倍は見事!しかしこれに文句を言う人も!

その文句を言う人として、この書で批判されているのが、図書館総合展(2013年10月)の「武雄市図書館を検証する」シンポに、樋渡啓祐市長と登壇した、糸賀雅児・慶応義塾大教授。僕はこのシンポの記録を見ていたので、本書の中での市長の反批判に、快哉!

糸賀教授の武雄市図書館批判はシンプル。「来館者は、3.2倍になっているが、図書貸し出し数は1.6倍」。これでは、成功とは言えない、と。来館者の大半は、スタバと雑誌だ。図書館じゃなくて「ブックカフェ」「マガジンカフェ」とまで言い切っている。

糸賀教授は、来館者数と図書貸出数の変化は同じであるべきだ、と述べているが、来館者数の伸びに、貸出数が追いついていないことが、武雄市図書館の改革を否定する論理になぜなるのか?減っていれば問題なのはわかるが、1.6倍にも!!なっているのに・・。

僕は、何度も武雄市図書館を訪れている。残念ながらまだ本を借りたことはない。でも、スタバのコーヒーを飲みながらページをめくるのは、至福の時間である。しかし、糸賀教授からすると、僕は図書館の目的外利用者で、員数外らしい。

糸賀教授は、図書館総合展シンポでは、武雄市図書館と伊万里市図書館を比較して、武雄の図書館資料の利用率が低い、とも批判している。カフェも新刊書店もない伊万里市図書館と比較することが疑問だし、図書貸出数が1.6倍になっていることから類推するに、図書館資料の利用絶対数も増えているはず。

樋渡市長の本書にある「本は人生を豊かにする。その本が集まる図書館は多くの人が利用できるようにするべきだ。」として、見事に来館者数3倍超を実現したことにたいして、糸賀氏が貸出数の伸びが追いつかないことなどをもって批判する学術的根拠が僕には理解できない。

ひとつだけ糸賀氏がすごいと思うのは、武雄市図書館を「フックカフェ」「マガジンカフェ」「武雄ナレッジパーク」「知のワンダーランド武雄ドーム」と、図書館以外のネーミングをたくさん出しているところ。樋渡さん、いっそ武雄市図書館を「知のワンダーランド・武雄」とかに変えちゃえば??(了)