旧3本の矢を思い返す

安倍政権は、サミットで金融緩和、財政出動、構造改革でとりまとめを狙っている。なんのことはない、これは旧3本の矢だ。金融緩和は、利上げをしたくて仕方ないアメリカを巻き込んでの合意は困難。とりわけ、アメリカは円安誘導となる日本の金融緩和を強く牽制している。
財政出動。これをG7でもっとも財政状況が悪い、日本が主張するのは皮肉な事態だ。金融緩和は、アメリカの牽制で、さらにすでにマイナス金利まで導入して打つ手がない状態だ。構造改革は、今の景気回復には即効性がない。残るのは財政出動しかない。
2020年のプライマリバランス黒字化の目標達成が、極めて難しくなった今、財政出動は野党の攻撃対象となる。それを、G7での合意を旗印に、切り出したいのだろう。財政赤字累増の中での、財政出動は危険な手だ。すくなくとも、そうとう大胆な歳出構造の見直しや構造改革とセットであるべきだ。
旧3本の矢の時に、「構造改革」の矢をしっかりと放っていれば、もう少し事態はマシだったのではないか。岩盤規制を打ち破る、との勇ましい言葉が先行して、明確な成果が見えないまま、抽象的な「新三本の矢」に移行してしまったのは、僕は失政だと思う。
日本経済は、3本の矢の「金融緩和」で回復したのは間違いない。野党が何を言おうが、「株価8000円、円80円。厳しい新卒採用。」といった状況を打ち破る経済政策を、政権を担っていた民主党は何一つ出せなかった。格差とか、インフレ2%が達成できないとかの批判は、説得力はない。
しかし、株価を回復させ円安に導いた「異次元の金融緩和」は、継続性のある政策でないことは,黒田総裁ご本人が一番翌承知していたはずだ。財政赤字で発行した国債を、市場から日銀がかき集め続けられるはずがない。早い段階で、国債増発に歯止めがかけられることが、「異次元緩和」の前提条件だった。
異次元の金融緩和は、銀行にお金を貸しやすくさせる政策だ。企業の側にお金を借りたいというニーズ、投資マインドがなければそもそも効果が出ない政策だ。その投資マインドに火がつけられないまま=笛吹けど(企業が)踊らず=では、いずれ行き詰まる政策だ。
国内外の企業が、日本での投資意欲が高められるような政策、目に見える大胆な構造改革が今こそ求められているのではないか。G7での財政出動合意を目指す前に、企業の投資マインドと国民の消費マインドが高まる政策を、わかりやすく国民に示すべきだ。今一度、旧3本の矢を振り返る時期かもしれない。