「郵政」カテゴリーアーカイブ

かんぽの宿は黒字化するか?

かんぽの宿は、法律で民営化後5年以内の完全な売却が定められていました。かつ、かんぽの宿の従業員の雇用を維持することも、事実上、定められていました。このため、人員を整理して黒字化してから、売却はできませんでした。

しかし、5年以内の売却義務がなくなり、長い時間をかけて、退職不補充といった形で人員削減すれば、だいぶ先に黒字化の可能性もゼロではないでしょう。

しかし、年金も雇用保険でも「宿泊施設」は、廃止しているのに、郵政だけ国営で宿泊施設を維持しなければならない理由はあるのでしょうか?かんぽの宿は、郵政職員の天下り先になっています。

地方の郵便局の廃止問題

 「小泉改革で、地方が疲弊した」の大合唱。郵政民営化で西川体制が、地方の郵便局を廃止した、とマスコミで喧伝されています。今から8年以上前の議事録を発見したので紹介します。
2001年9月14日(金) 10:30~12:00、内閣総理大臣官邸大客間
(松原委員)ユニバーサル・サービスを非常に重視し、国営だから過疎地の郵便局が維持できるとのことだったが、利用度の低い特定局179局と簡易局70局が廃止されている。廃止した全ての局について、その後どのような対応をしたか資料を配付してほしい。
(郵政事業庁長官)特定局は179廃止されているが、ほとんどの場合その後に簡易局を設置。簡易局が廃止された後には何も残らないという状況。
国営(郵政事業庁)時代に、「簡易局が廃止された後に何も残らない状況」だったわけです。むしろ、西川時代に、廃止された簡易局をいろいろな手段で回復させています。こういった事実を、もう少ししっかり発言すべきだったと反省しています。
ちなみに、この日の出席者は
(政府側)
小泉純一郎  内閣総理大臣
片山虎之助  総務大臣
上野 公成  内閣官房副長官(政務・参)
古川貞二郎  内閣官房副長官(事務)
 
(委員)
田中 直毅  座長・経済評論家
池尾 和人  慶應義塾大学経済学部教授
翁  百合  株式会社日本総合研究所調査部主席研究員
葛西 敬之  東海旅客鉄道株式会社代表取締役社長
風間 晴子  国際基督教大学教授
清野 一治  早稲田大学政治経済学部教授
樋口 恵子  東京家政大学教授
松原  聡  東洋大学経済学部教授
若杉 敬明  東京大学大学院経済学研究科教授

郵政民営化の見直し

 民主党政権は、連立相手の国民新党とともに、郵政民営化の見直しをマニフェストで表明。政権獲得後、その見直しの具体案が出てきた。郵便局、郵便事業会社の合併と、ゆうちょ、かんぽの政府系金融機関化がその柱のようだ。今日9月18日の読売新聞で、「郵政民営化、検証求める声も」という見出しで、「民営化2年間の検証をやるべきだ。よくなった面もある」という私のコメントが載っている。
 07年10月1日の民営化から、ほぼ2年。この間の成果と問題点を洗い出す検証作業をしっかりした上で、見直し=改革の方向を出して欲しい、という趣旨である。

電気自動車と郵政民営化・・・

 日産が、来年発売の電気自動車を公表。その試乗会に、ゴーン、小泉元総理、松沢神奈川県知事、中田横浜市長の4名が同乗!
 この小泉、松沢、中田の3人は、1998年に発足した超党派の議員研究会「郵政民営化研究会」の中心でした。私が小泉さんと本格的におつきあいしたのもこの研究会から(私が研究会チューターを務めていました)。なんか、郵政民営化の初期メンバーがそのまま電気自動車にスライドしたようで、感慨深いものがありました。

報道ステーションにビデオ出演

 23日(木)放送の報道ステーションの「郵政民営化特集」に、ビデオで出演しました。2007年10月の郵政民営化の直前に作られた「郵政公社関連法人見直し委員会」が、取り上げられました。この委員会は、私が委員長を務め、公社が219もの関連法人を持ち、そこに2000人もの天下りが行っていた事実を明らかにして、それを止めました。
 この委員会を作り、全面的に作業をバックアップしてくれたのが、西川善文社長(当時公社総裁)でした。
 この委員会で、メルパルクなどを運営していた「ゆうちょ財団」は、メルパルクなどを切り離すことで、99%の業務がなくなり、事実上、自然消滅すると見ていました。しかし、この財団が、なんと100億円近い資金を持ち逃げしていたことが、後になって判明しました。
 いま、財団がやっている仕事は、1%残った、研究支援などの業務。このためだけに、100億円近い資金が必要ですか!どういう法的手続きがあるかどうかはわかりませんが、なんとしても、国か郵政に返すべきですよね。

鳩山大臣更迭について④(了)

 郵政事業は、1871年(明治4年)に創業し、2003年に公社、2007年に民営化された。4年間の公社時代は「国営公社」であったので、なんと136年間、国営で維持されてきたことになる。
 その民営化は、大変な作業となる。2007年10月に民営郵政は発足したが、2010年度には上場が、2012年9月までには「かんぽの宿」などの事業の切り離しが、そして2017年には、ゆうちょ銀、かんぽ生命の完全民営化が予定されている。まさに、136年の国営事業の10年がかりの大改革作業である。
 
 さきに扱った郵便の低料三種問題(③)では、逮捕された郵政職員は「個人利得がないうえ、郵便会社全体に積年にわたり不正を黙認する土壌があった」として、正式な公判請求は見送って、罰金刑となる略式起訴となった。この「黙認」を見抜けなかったことの責任の一端は私にもある。しかし、この「積年の土壌」こそが問題なのである。
 こういった土壌を抱えたまま、郵政事業を改革半ばの状態で抱え込むほど、日本の経済・社会にゆとりはないと思う。なんとかこの改革を進めていかなければならない。その際に改革を進める側は高い透明度でこれを進めなければならないのはもちろんであるが、それを監視する国会、マスコミ、国民もまた、冷静な目が求められていると思う。

鳩山大臣更迭について③(身障者向け郵便(低料3種))

 私は、郵便事業株式会社の社外取締役をしている。鳩山更迭①に書いたように、西川氏の再任については、「関与な」し。②に書いたように、かんぽの宿については、「関与あり」。この③の低料3種については、「責任あり」、である。
 低料3種とは、障害者向けの定期刊行物。一定の条件を満たすと、120円の郵送料が8円、と格安になる。その差し出しは「障害者団体」に限られており、その認定について不正があったとして、14日、厚労省の局長が逮捕されている。
 さて、その低料3種、対象の大半が(おそらく9割も)規定を満たしておらず、不正に低料金でダイレクトメールを差し出していた。これは、公社時代から引き継がれていたことであって、民営化後に生じた問題ではない。しかし、こういった大規模な不正を見抜けなかったことは、正直に言って社外取締役として反省しなければならない。
 いいわけを言えば、この案件は通常の業務なので取締役会の議題になるものではない。しかし、業務報告には含まれるものである。そのたとえば、年間50億円、という数字を見たときに、これはおかしい!との判断ができなかったのは事実である。一通あたり100円ほどの割引になっているわけであるから、50億円÷100円を暗算すれば、5000万、という数字が出る。障害者向け郵便が、年間5000万などあるはずがない。(ちなみに、一団体で1400万通を出していた例もあったようである。)
 しかし、これも第一義的に、郵便事業株式会社の責任であり、すぐさまその親会社社長である西川氏が追求されるものではない。しかし、郵便会社の経営責任よりは、西川氏の「監督(子会社に対する)」責任が問われたのも、腑に落ちないことであった。(to be continued)

鳩山大臣更迭について②(かんぽの宿)

 かんぽの宿は、旧簡易生命保険法101条に定められていた、加入者福祉のための宿泊施設である。70以上の施設があり、年間赤字は50億円にのぼっていた。民営化にともない、この事業は金融業としてのかんぽ生命が引き継ぐことができず、持ち株である日本郵政が5年に限って維持することとなっていた。
このため、日本郵政には、民営化後5年、つまり2012年9月末までの売却が「法律」で義務づけられていたのである。
 
 西川氏の続投に関しては、私は何の権限も関与もない。しかしかんぽの宿については関与がある。2007年4月に、郵政の関連法人の見直し委員会の委員長を引き受けた。そこで、200以上の郵政取引会社や関連法人を子会社化するか否かの判断を求められた。その中に「かんぽの宿」があった。
「かんぽの宿」は、法律で日本郵政からの切り離しが決まっていたので、委員会としては判断は必要なかった。しかし、年間50億円もの赤字は経営上の大きな負担なので、「なるべく早期」の譲渡ないしは売却を答申した。
 答申した側として、年間50億円もの赤字を出す事業を、どうやって売却するのかは不安であった。それは、民営化の際しての国会附帯決議などで、日本郵政は、従業員の雇用の継続を求められていたからである。赤字のかんぽの宿を、廃業して、更地で民間に売却することは不可能だったのである。従業員をそのまま抱えて、赤字のかんぽの宿を買い取る民間企業など、あるわけがない。
 日本郵政がとった方法は、黒字の宿と赤字の宿をセットにして売却するというものであった。したがってその売却額は、不動産の資産額から、年間50億の営業赤字(一種の機会費用)を差し引いたものとなる。多くの方が感じた売却価格の不透明な感じは、ここに依存するのである。この点もまた、鳩山vs西川の報道からはするりと抜け落ちてしまった感が強かった。

鳩山総務大臣更迭について①(指名委員会)

 かんぽの宿売却の「疑惑」などを巡って、鳩山総務大臣(当時)が西川日本郵政社長の続投を認めない意向を強く示唆し、鳩山vs西川の対立として世間を騒がした。しかしいくつか世間には(マスコミ報道?には)、誤解がある。その一つは、鳩山vs西川という構図である。
 西川氏の続投を決めたのは、日本郵政の「指名委員会」。この委員会は、牛尾治朗ウシオ電機会長、奥田碩トヨタ自動車相談役、丹羽宇一郎伊藤忠商事会長の社外三人と西川社長、高木副社長の社内二人と、で構成されている。つまり、鳩山vs西川、ではなく、鳩山vs牛尾・奥田・丹羽であったのである。
 経営のプロ中のプロである財界の重鎮3人が、過去の経営の動向を見て、もちろんかんぽの宿の問題を含めて西川氏の続投を「是」とした。鳩山氏は、なによりも西川氏の続投を決めた指名委員会を批判すべきであり、西川氏へ辞任を迫る前に、指名委員会に「指名」のやり直しを求めるべきであったはずである。
 西川氏としては、自発的に辞任すると、指名委員会の決定に逆らうことになるわけで、それはできる話ではないのである。この点があいまいなまま、鳩山vs西川、という図式で報道され続けたことが、私にはどうしても不可解であった。

明治4年、郵便開業と「太陰暦」、「民部省」(1)

 前島密によって郵便事業が開始された明治4年。この年がまだ「太陰暦」だったことはすでにこのデジタルコラムで書きました。そこで雑学的に・・。
  暦には、1年の長さを太陽の動きによって決める「太陽暦」(新暦)と、月の動きによって決める「太陰暦」(旧暦)とがあります。
 太陰暦では、一ヶ月を月の公転(新月(朔)から上弦、満月(望)、下弦となり、また新月へ)周期=29.5日となっています。こうなると、1年は354日(29.5×12)。そうなると、地球の公転の1年365日とは10日ほどずれてしまいます。3年で30日ずれますので、3年に一度、一ヶ月プラスする、つまり3年に一度、一年が13ヶ月になるのです。これを「閏月」といいました。
 明治に入り近代化=西欧化を急ぐ明治政府は、この太陰暦を太陽暦に「改暦」を決めたのが、明治5年11月9日。「今般太陰暦ヲ廃シ太陽暦御頒行相成候ニ付来ル十二月三日ヲ以テ明治六年一月一日ト被定候事」と。明治5年は12月3日までしかなかった、ということです。ちなみに、旧暦と新暦を計算するサイトを発見。
http://koyomi.vis.ne.jp/mainindex.htm(→新暦と旧暦)
 ここで計算すると、今日2008年4月29日は、太陰暦(旧暦)だと、2008年3月24日、になります・・・。
 さらに、明治政府が明治5年に改暦を急いだのは、明治6年が旧暦のままだと「閏年」となり、13ヶ月月給を払わねばならず、それを回避するために太陽暦にして12ヶ月にしたのだとか・・・。この真偽は???ですが。